2015年11月|音泉日記~音楽の温泉~

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イプシロン・エッセ~イル・バレット・ディ・ブロンゾ

[イプシロン・エッセ(YS)]は、イル・バレット・ディ・ブロンゾ(Il Balletto Di Bronzo)のセカンドアルバムの邦題ですが、アルファベットの「」と「」のイタリア語での音です。
YS_CDImage
YS」とは、フランス・ブルターニュ地方に伝わる大洪水によって一夜で姿を消したとされる伝説上の都市の名前で、ブルターニュ地方に残るブルトン語(ブレイス語)では「IS」と綴られ、「低地」を意味するブルトン語の「Izel」に由来するとのことです。
伝説は―――
ブルターニュ地方に5世紀頃コルヌアイユ(Cornouaille)という国がありグラドロン(Gradlon)王が治めていました。王は海の妖精と結婚し美貌の一人娘ダユー(Dahut)を授かります。王は聖コランタン(Corentin)と出会いキリスト教へと改宗し節制を広めますが、王女のダユーはそれに耐えられず「海が恋しいので、海のそばに住みたい」と王に頼み込みます。娘を溺愛する王がその願いを聞いて造ったのが「イス」で、ここに移り住んだ王女は妖精の力を借りて高波から守るための堤防と水門を作り支配者となります。次に都市を繁栄させるための悪巧みとして、海の底から怪物を呼び出して通りかかる船を襲わせて略奪を行ない、背徳と享楽に溺れていくようになります。そして美貌の王女には求婚する貴公子が多く訪れるようになりますが、気に入った貴公子を誘惑しては飽きると殺して海に捨てるという仕打ちを繰り返してしまいます。ところがある日、赤ずくめの貴公子が現れて王女を言葉巧みに誘惑して、水門の鍵を奪ってしまいます。赤い貴公子の正体は悪魔であり、水門は開けられてしまい、押し寄せた洪水であっという間に「イス」は水没してしまいました。

YS_Member
Il Balletto Di Bronzo は、バッテイトーリ・セルヴァッジ(Battitori Selvaddi)というハード&ヘヴィ・ロックバンドが1969年に改名したものです。バンド名は、エドワード・アレクサンダー・ワズワース(Edward Alexander Wadsworth)というイギリスの画家の1940年の「ブロンズのバレー(Bronze Ballet)」というシュルレアリスム作品からインスピレーションされて付けられたものということです。
シングルを2枚発表しデビューアルバム[シリウス2222(Sirio 2222)]をリリースするも活動が停滞してしまい、ギターのリノ・アジェロ(Lino Ajello)とドラムスのジャンキ・ストリンガ(Gianchi Stringa)がオザンナ(Osanna)の前身バンドであるチッタ・フロンターレ(Citta Frontale)にいたキーボードのジャンニ・レオーネ(Gianni Leone)を迎え、ベースには旧知のヴィト・マンザリ(Vito Manzari)を加えて1971年に活動を再開し、前作のハードロック路線からキーボードを中心とした実験的なシンフォニックロックサウンドへと変貌を遂げ、[イプシロン・エッセ(イス)]を製作します。

YS(イプシロン・エッセ) 2(紙ジャケット仕様)



1.イントロダクション - Introduzione
2.第1部 - Primo Incontro
3.第2部 - Secondo Incontro
4.第3部 - Terzo Incontro
5.エピローグ - Epilogo
6.安息の家 - La Tua Casa Comoda
7.ヴィットリア夫人 - Donna Vittoria

1972年にLPレコードで発表した時の[イプシロン・エッセ(イス)]は、序章に続き3つの楽章が連なり最後は終章で締めるという5曲構成の組曲風になっていました。各曲にはサブタイトルもなく、単に「イントロダクション」で始まり、その後は「第1部」「第2部」「第3部」と名付けられ、「エピローグ」で終わるというスタイルのトータルアルバム形式です。ハイトーンの女性スキャットで幕を開け、オルガンに導かれて静かにヴォーカルが響いた後、ドラムによるリズムセクションが重なりあい、それがヘビィでジャジーな即興演奏へと展開していき、それからは次々と様々なアヴァンギャルドな演奏が繰り広げられますが、全体のトーンは大きく外れることはなくダイナミックでドラマチックでありながらトータルなイメージが保たれています。「イス」という伝説都市の背徳と享楽、そしてその後の崩壊が表現されているかのようです。
安息の家」と「ヴィットリア夫人」はCD化された際のボーナストラックですが、Il Balletto Di Bronzo がイタリアをツアー中に Lino AjelloVito Manzari が脱退してしまったため、残された Gianni LeoneGianchi Stringa が二人でレコーディングしたシングル曲です。「安息の家」はシングルとしては発表されている曲であるため、耳に残りやすいキャッチーなメロディーのハードロックサウンドで、「ヴィットリア夫人」は男性スキャットによるイントロからベース主体のリズムセクションに移り、また男性スキャットに戻るというインストゥルメンタル曲です。

YS_Index YS_Credit

アルバムジャケットには4ポーズの女性カットが用いられていますが、これは王女ダユーを意識したものなのでしょうか。インナー部分には歌詞が記されており、その最後に「parole e musica di N.Mazzocchi」と作詞/作曲者のクレジットがありますが、メンバーに存在しない名前です。このアルバムは Gianni Leone を中心にグループ全員で作り上げたものなのですが、彼らがイタリア音楽著作権協会に登録していなかったため、便宜上ナポリに住む女性の名前を借りたということです。アルバムのタイトルといい、どこか謎めいたところだらけになっています。

RoadToYS_CDImage

[ロード・トゥ・YS~『YS』誕生前夜(On The Road To YS ...and Beyond)]という関連アルバムがリリースされています。これは[イプシロン・エッセ(イス)]の原型となるスタジオ・デモ音源が2曲分見つかったことにより、2003年以降のライブ音源を追加しアルバムサイズにして発表したというものです。

On the Road to Ys & Beyond

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1.(デモ-1971)イントロダクション - Introduzione
2.(デモ-1971)第2部 - Secondo Incontro
3.(ライブ-2006)安息の家 - La Tua Casa Comoda
4.(ライブ-2003)ヴィットリア夫人 - Donna Vittoria
5.(ライブ-2003)操られた鍵盤 - Tastiere Isteriche
6.(コメント-2007)オマージュ・トゥ・バレット・ディ・ブロンゾ - A Homage To Balletto Di Bronzo
7.(ソロ・ライブ-2007)イントロダクション - Introduzione
8.(ソロ・ライブ-2007)ナポリ・ソッテッラ~古代ネアポリスの入口 - Napoli Sotterranea
9.(ソロ・ライブ-2007)アナコンダ - Anaconda
10.(ソロ・ライブ-2007)昨日も明日もない - Ne Irei, Ne Domani

1曲目「イントロダクション」と2曲目「第2部」が発掘された音源で、1971年10月1日・2日にミラノのフォノグラムスタジオで録音されたものということです。当時は1曲目には「4/7」と名付けられていたそうですが、2曲目には未だタイトルはなかったようです。このデモ音源では Gianni Leone は英語で歌っていますが、フォノグラムとのアルバム契約成立後、イタリア語で歌うように強要され、そこでコーラスで参加していた女性に歌ってもらったものの出来上がりに満足することができず、最終的に Gianni Leone がイタリア語で録音し直しリリースしたとのことです。
ロード・トゥ・YS~『YS』誕生前夜」の音源としては。この2曲だけで残りはアルバムタイトルのうちの「...and Beyond」の部分になります。そのうち「安息の家」「ヴィットリア夫人」「操られた鍵盤」の3曲は一応 Il Balletto Di Bronzo としての活動ですが、それ以降は2007年9月21日に行なわれたバレット・ディ・ブロンゾ・トリビュート・コンサートでの Gianni Leone のソロ・ライブとなっております。

RoadToYS_IndexRoadToYS_CD




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