運命の3人の女神~エマーソン・レイク・アンド・パーマー|音泉日記~音楽の温泉~

運命の3人の女神~エマーソン・レイク・アンド・パーマー

Emerson, Lake & Palmer のキーボーディストである Keith Emerson が、2016年3月11日に71歳で逝去されました。自殺とのことですが、右手の2本の指が動かない神経性障害で演奏がままならないことに対してナーバスになっていたようです。
ELP_LP

Keith Emerson は、子どもの頃からピアノを習い15歳の時に参加したミュージック・フェスティバルではバッハの部で2位を獲得します。その後はジャズ・ピアノを弾き始めクラブなどでの演奏をするようになり、1963年末には Keith Emerson Trio を組みピアノトリオ演奏で初のレコーディングをします。1965年になるとハモンドオルガンを購入し新たにバンドを結成してロンドンのマーキークラプなどで演奏するようになりますが、そこでP.P.アーノルド(Patricia Ann Cole)に出会い、彼女のバック・バンドとして The Nice を結成することになります。しばらくするとバンドとして独立し1967年にはレコードデビューをして、ステージでは星条旗を燃やすパフォーマンスをするなど、話題を集めるようになります。アルバムは、全部で5枚リリースしますが、3rdアルバムの邦題は[ジャズ+クラシック÷ロック=ナイス(Nice / Everything As Nice As Mother Makes It)]というユニークなものでした。4thアルバム[フェアウェル・ザ・ナイス/組曲『五つの橋』(Five Bridges)]発表後のアメリカ・ツアーを King Crimson と一緒に行なった時に Greg Lake と出会って意気投合して一緒にバンドを結成しようという話をします。また、この頃 Greg Lake に誘われ訪れたオーディオ機器のイベントでムーグ・シンセサイザー開発者のロバート・ムーグ(Robert Moog)に出会い、そのことをきっかけにシンセサイザーをバンドサウンドに積極的に取り込むようになり、Progressive Rock を象徴する楽器へと発展させていくこととなります。1970年2月に5thアルバム[エレジー(Elegy)]リリース後に The Nice は解散することになり、4月になると Atomic Rooster にいた Carl Palmer がドラムスにスカウトされて、Emerson, Lake & Palmer が誕生します。
 キース・エマーソン(Keith Emerson) - Keyboard
 グレッグ・レイク(Greg Lake) - Bass, Vocal
 カール・パーマー(Carl Palmer) - Drums
そして11月20日にバンド名と同じ名前の[エマーソン・レイク・アンド・パーマー]でアルバムデビューをします。収録曲は、アナログLPのAB面ともに3曲ずつという大曲志向のもので、クラシック楽曲を取り込んだスタイルで Keith Emerson の趣向と Greg Lake の経歴(King Crimson風)が組み合わさった形です。

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1.未開人 - The Barbarian
2.石をとれ - Take A Pebble
3.ナイフ・エッジ - Knife Edge
4.運命の3人の女神 - The Three Fates
4-1.クローソー - Clotho
4-2.ラキシス - Lachisis
4-3.アトロポス - Atropos
5.タンク - Tank
6.ラッキー・マン - Lucky Man

1曲目「未開人」は、ハードなオルガン演奏によるインストゥルメンタル曲で、ハンガリー出身のバルトーク(Bela Bartok)のピアノ独奏曲「アレグロ・バルバロ(Allegro Barbaro)」をアレンジしたものです。Bela Bartok の曲は元々は「嬰ヘ調のアレグロ」という題名でしたが、フランスの新聞に「ハンガリーの若き野蛮人」と載ったことから「野蛮なアレグロ」と改名したとのことです。
2曲目の「石をとれ」は、Greg Lake の作品で抒情的なボーカルから始まる12分を超える大作となっており、クラシカルな要素やジャジーなピアノサウンドなど様々な音楽手法が組み込まれたバンドの代表作の一つです。
3曲目「ナイフ・エッジ」は、クラシックの原曲を大胆にアレンジしたハードな楽曲です。ヤナーチェク(Leos Janacek)の組曲「シンフォニエッタ(Sinfonietta)」の第1楽章「ファンファーレ」と、バッハ(Johann Sebastian Bach)の「フランス組曲第1番(BWV 812)」をフューチャーしています。
4曲目の「運命の3人の女神」は、Keith Emerson の手による3部構成のキーボードソロ曲です。「運命の3人の女神」とは、ギリシャ神話のモイライ(Moirai)という人の寿命を割り当てる女神を指します。「クロートー」は運命の糸を紡ぐ神で、「ラケシス」はその運命の糸を人に割り当てる神で、「アトロポス」が運命の糸を最後に裁ち切る神です。こうして人間の寿命が決まるとされています。
5曲目の「タンク」は、ドラミングが主体の曲で Carl PalmerKeith Emerson と作曲したインストゥルメンタルです。
最後の「ラッキー・マン」は、Greg Lake が手掛けたアコースティック・ナンバーですが、最後にムーグ・シンセサイザーの電子的な音世界が広がります。
ELP_Note

このアルバムは、全英4位、全米18位となりますが、セカンドアルバム[タルカス(Tarkus)]は、全英では1位、全米は9位を記録します。その後も、ライブ録音したアルバム[展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)]や[恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)]などのヒット作を生み出していきますが、1980年2月に解散してしまいます。
解散後は、それぞれにソロ作品を発表したり、Carl PalmerGreg Lake は、Asia でバンド活動したりしますが、徐々に再結成に向けての動きがみられるようになります。1986年に、Carl Palmer の代わりに Cozy Powell がドラムスとして参加する形で、Emerson, Lake & Powell が結成されます。このバンドは略称形が EL&P となるもので Keith Emerson は再結成バンドと公言し Emerson, Lake & Palmer の楽曲もレパートリーに加えてライブ演奏をしていましたが、バンド名を冠したアルバム1枚を発表しただけで解散してしまいます。そして、Cozy Powell の代わりに Carl Palmer が合流するものの、今度は Greg Lake が離脱してしまい、そこで Keith EmersonCarl Palmer はギタリストの Robert Berry とともに、トリオ編成の 3 というバンドを結成し1988年にアルバム[スリー・トゥ・ザ・パワー(3...To The Power Of Three)]を発表しますが、こちらもライブツアー後に解散してしまいます。
しかし、1992年になって遂に再結成を果たしてアルバム[ブラック・ムーン(Black Moon)]を発表し、続けて1994年にはアルバム[イン・ザ・ホット・シート(In The Hot Seat)]を発表しますが、商業的な成功はつながりませんでした。この時期に Keith Emerson は腕の手術を受けており、闘病生活が始まることとなります。2000年頃からは Emerson, Lake & Palmer としての活動は行なわれなくなり実質的には解散状態になりますが、2010年7月25日にロンドンで一夜限りの再結成ライブが実現し、これが最後のバンド活動になりました。



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映画[脳男]の主題歌に、King Crimson の [21世紀のスキッツォイド・マン(21st Century Schizoid Man)]が使われていました。

キース・エマーソン 追悼」としてムック本が出版されています。

エマーソン・レイク&パーマー (KAWADE夢ムック 文藝別冊)




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