ブラック・ムーン~エマーソン・レイク・アンド・パーマー|音泉日記~音楽の温泉~

ブラック・ムーン~エマーソン・レイク・アンド・パーマー

2016年3月11日に71歳で逝去した Keith Emerson は、Emerson, Lake & Palmer のリーダー的存在で、彼の弾くキーボードが、ベースの Greg Lake、ドラムスの Carl Palmer というリズムセクションをバックに、サウンドを形作っていくスタイルでした。Emerson, Lake & Palmer は1980年2月に一度解散し、1992年に再結成をしますが、その間 Keith Emerson を中心に離合集散が繰り返されます。最初は、Carl Palmer の代わりに Cozy Powell がドラムスとして参加した Emerson, Lake & Powell が結成されます。当時、Carl PalmerAsia の結成メンバーとしてサードアルバムである[アストラ(Astra)]の製作中であり、Keith Emerson からの再結成の誘いを断っており、そこで、RainbowWhitesnake で活躍していた Cozy Powell に声をかけ、省略形がELPとなる Emerson, Lake & Powell としてバンドを作り Emerson, Lake & Palmer の再結成バンドと公言します。しかし、Carl Palmer は「ELP」という略称を認めず、使用停止の訴訟を起こして勝訴するという悶着がありました。

エマーソン・レイク&パウエル 2



1.ザ・スコアー - The Score
2.ラーニング・トゥ・フライ - Learning To Fly
3.ザ・ミラクル - The Miracle
4.タッチ・アンド・ゴー - Touch And Go
5.ラヴ・ブラインド - Love Blind
6.ステップ・アサイド - Step Aside
7.レイ・ダウン・ユア・ガンズ - Lay Down Your Guns
8.火星-戦争をもたらすもの - Mars, The Bringer Of War

1曲目の「ザ・スコアー」は全日本プロレスのテーマ曲として使われているため、日本人には割と知られている曲となっています。4曲目の「タッチ・アンド・ゴー」はファーストシングルカット曲で、Emerson, Lake & Powell を代表する曲と位置づけられており、こののち再集結する Emerson, Lake & Palmer でも演奏されており、 Emerson, Lake & Palmerベスト盤ボックスセット「リターン・オブ・ザ・マンティコア(The Return of the Manticore)」にも収録されているほどです。また、この曲はレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams)の「グリーンスリーヴスによる幻想曲(Fantasia On Greensleeves)」をモチーフにした楽曲です。7曲目の「レイ・ダウン・ユア・ガンズ」もシングルカット曲です。日本ではどちらもシングルとして発売されませんでしたが、再発されたアルバムCDには「+2」として、9曲目に「タッチ・アンド・ゴー」のB面曲「ロコモーション(The Loco-Motion)」、10曲目に「レイ・ダウン・ユア・ガンズ」のB面曲「ヴェイカント・ポゼッション(Vacant Possession)」が収録されました。「ロコモーション」は、キャロル・キング(Carole King) のカバーです。8曲目の「火星-戦争をもたらすもの」はホルスト(Gustav Holst)の組曲[惑星(The Planets)]の第1楽章で曲名も同じタイトルです。この曲は、King Crimson も1970年発売のセカンドアルバム[ポセイドンのめざめ(In The Wake Of Poseidon)]でも取り上げていますが、当時は曲名の使用許可がとれず、構成を一部変更して「デヴィルズ・トライアングル(The Devil's Triangle)」というタイトルになりましたが、こちらのアルバムリリース時は Gustav Holst の死後50年が過ぎ著作権が切れていました。この曲は、Greg Lake にとって思い出深い曲ですが、Cozy Powell にとっても Rainbow のアルバム[ダウン・トゥ・アース(Down To Earth)]の2曲目「アイズ・オブ・ザ・ワールド(Eyes Of The World)」のイントロや、Whitesnake の日本でのライブ[SUPER ROCK '84]でドラムソロ演奏をするなど非常に思い入れの深い曲です。そんな Cozy Powell も今では Keith Emerson と同じく鬼籍に入っております。
EmersonLake&Powell_LPEmersonLake&Powell_LP_Back

Emerson, Lake & Powell は、このグループ名を冠したアルバム[エマーソン レイク アンド パウエル]リリースとライブツアーの後、Cozy Powell の離脱により瓦解してしまいますが、ちょうど Carl PalmerAsia を脱退しており、Keith EmersonGreg Lake は、Carl Palmer を誘い再結成に向けた行動を開始したものの Greg Lake が距離を置くようになります。そこで代わりにギタリストの Robert Berry に声をかけてトリオ編成の 3 というバンドを結成します。Robert Berry は、GenesisSteve Hackett と、YesAsia にいた Steve Howe が結成した GTR というバンドが、Steve Hackett が脱退したことにより、その後任として参加したメンバーですが、結局 GTR が解散してしまったため、こちらに参加することとなりました。そして、アルバム[スリー・トゥ・ザ・パワー(3...To The Power Of Three)]を作成します。

スリー・トゥ・ザ・パワー



1.トーキング・アバウト - Talkin' 'bout
2.ラヴァー・トゥ・ラヴァー - Lover To Lover
3.チェインズ - Chains
4.デスデ・ラ・ヴィスタ - Desde La Vida
4-1.ラ・ヴィスタ - La Vista
4-2.フロンテラ - Frontera
4-3.サングレ・デ・トロ - Sangre De Toro
5.霧の8マイル - Eight Miles High
6.ランナウェイ - Runaway
7.ユー・ドゥー・オア・ユー・ドント - You Do Or You Don't
8.オン・マイ・ウェイ・ホーム - On My Way Home

このアルバムは全8曲のうち、Robert Berry 単独で作成した曲が「トーキング・アバウト」「ランナウェイ」「ユー・ドゥー・オア・ユー・ドント」と3曲あり、ほぼ全てに Robert Berry のボーカルが入るという Robert Berry 色の強いアルバムです。「ラヴァー・トゥ・ラヴァー」は3人の共作ですが、「チェインズ」は Keith Emerson の友人で、ティナ・ターナー(Tina Turner)やホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)に曲提供したことのあるスー・シフリン(Sue Shifrin)が手掛けたものです。「デスデ・ラ・ヴィスタ」は組曲形式になっており、「ラ・ヴィスタ」は3人共作、「フロンテラ」は Keith Emerson 作の instrumental で唯一ボーカルのない曲で、「サングレ・デ・トロ」は Keith EmersonCarl Palmer の曲です。この「デスデ・ラ・ヴィスタ」は、Emerson, Lake & Palmerベスト盤ボックスセット「フロム・ザ・ビギニング(From The Beginning)」に収録されています。ちなみに、「フロム・ザ・ビギニング」には、Emerson, Lake & Powell の「火星-戦争をもたらすもの」も収録されています。「霧の8マイル」はバーズ(The Byrds)のサイケデリックな一面を象徴する曲のカバーです。「オン・マイ・ウェイ・ホーム」は Keith Emerson の作品ですが、歌詞カードには「In memory of Tony Stratton-Smith」と、アルバム製作時に亡くなった The Nice のマネージャーだったトニー・ストラットン・スミスへの哀悼が記されています。
3_Note

このアルバムも商業的な成功には結びつかず、あらためて Emerson, Lake & Palmer としての活動を模索します。そして、前作[ラブ・ビーチ(Love Beach)]から14年ぶりとなるスタジオ録音アルバム「ブラック・ムーン(Black Moon)」を1992年に発表します。アルバムのプロデュースは今までは Greg Lake でしたが、このアルバムではマーク・マンシーナ(Mark Mancina)が担当しています。Mark Mancina は、ロスアンゼルスでセッション・キーボード・プレイヤーとして活動したり、映画音楽を手がけたり、また、Yes のアルバム[結晶(Union)]収録の「ミラクル・オブ・ライフ(Miracle Of Life)」では共同プロデューサーとして参画しています。

ブラック・ムーン(紙ジャケット仕様)

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1.ブラック・ムーン - Black Moon
2.ペイパー・ブラッド - Paper Blood
3.アフェアズ・オブ・ザ・ハート - Affairs Of The Heart
4.ロメオ・アンド・ジュリエット - Romeo And Juliet
5.フェアウェル・トゥ・アームズ - Farewell To Arms
6.チェンジング・ステイツ - Changing States
7.バーニング・ブリッジズ - Burning Bridges
8.クロース・トゥ・ホーム - Close To Home
9.ベター・デイズ - Better Days
10.フット・プリンツ・イン・ザ・スノウ - Footprints In The Snow
11.ブレイド・オブ・グラス(日本盤ボーナス・トラック) - A Blade Of Grass

1曲目「ブラック・ムーン」は中近東での戦火をイメージしたかのような歌詞で、それに合わせたヘヴィ―なサウンドでアルバムは始まります。
2曲目「ペイパー・ブラッド」も1曲目と同様3人共作のヘヴィ―な曲調で、このアルバム中3人共作はこの2曲だけですが、ともに強烈なロックサウンドです。
3曲目の「アフェアズ・オブ・ザ・ハート」は Greg LakeAsiaGeoff Downes が作った曲です。2人は Ride The Toger というプロジェクトで1990年頃に曲作りをしていましたが、その時はアルバムリリースまでには至らずおり、このアルバムで「アフェアズ・オブ・ザ・ハート」が採用され、「ラヴ・アンダー・ファイアー(Love Under Fire)」という曲が Asia の4枚目のアルバム[アクア(Aqua)]に収録されました。ところが、2015年11月27日に[ライド・ザ・タイガー(Ride The Tider)]というタイトルでアルバムリリースされることとなりました。
4曲目の「ロメオ・アンド・ジュリエット」は、プロコフィエフ(Sergei Prokofiev)のバレイ音楽「ロメオとジュリエット(Romeo And Juliet)」の第1幕第2場第13曲「騎士たちの踊り」を Keith Emerson がアレンジした楽曲です。
5曲目「フェアウェル・トゥ・アームズ」は Keith EmersonGreg Lake の共作で、“武器よ、さらば”と歌うしっとりとしたバラード曲です。
6曲目の「チェンジング・ステイツ」は Keith Emerson がソロアルバム用に作成していたインスト・ナンバーで、当初は「アナザー・フロンティア(Another frontier)」というタイトルだったとのことです。
7曲目「バーニング・ブリッジズ」はプロデューサー Mark Mancina の曲で、ポップ感のあるサウンドになっています。
8曲目の「クロース・トゥ・ホーム」も Keith Emerson のソロアルバム用としていたピアノソロといえる曲です。
9曲目の「ベター・デイズ」も Keith EmersonGreg Lake の共作曲ですが、こちらはキャッチ―なメロデーの曲です。
10曲目「フット・プリンツ・イン・ザ・スノウ」は Greg Lake 作のギター弾き語りのようなラブソングです。
ボーナストラックの「ブレイド・オブ・グラス」はシングルカットされた「ブラック・ムーン」のB面曲で、こちらも Keith Emerson のピアノソロです。
ELP_BlackMoon_LogoELP_BlackMonn_Note

Keith Emerson のソロアルバム用の楽曲や Greg Lake のプライベートプロジェクトの楽曲、それにプロデューサー Mark Mancina の曲と、バラエティ豊かなアルバム構成となりました。アメリカではビルボード78位と奮いませんでしたが、日本ではオリコンチャート16位となりました。

ライド・ザ・タイガー (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)





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映画[脳男]の主題歌に、King Crimson の [21世紀のスキッツォイド・マン(21st Century Schizoid Man)]が使われていました。

キース・エマーソン 追悼」としてムック本が出版されています。

エマーソン・レイク&パーマー (KAWADE夢ムック 文藝別冊)




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