イン・ザ・ホット・シート~エマーソン・レイク・アンド・パーマー|音泉日記~音楽の温泉~

イン・ザ・ホット・シート~エマーソン・レイク・アンド・パーマー

[イン・ザ・ホット・シート(In The Hot Seat)]は、1994年に発売された Emerson, Lake & Palmer の9作目のスタジオ・アルバムですが、2016年3月11日に Keith Emerson が逝去されたため、グループの最終作となってしまいました。
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Emerson, Lake & Palmer は、1970年に、The Nice のキーボーディスト Keith Emerson が、King Crimson でベースとボーカルを担当していた Greg Lake と意気投合し、Atomic Rooster のドラマーであった Carl Palmer とともに結成されたグループです。
グループ名を冠したデビューアルバムは全英4位/全米18位で、セカンドアルバムの[タルカス(Tarkus)]では全英1位/全米9位となり、海賊盤対策としてリリースしたライブアルバム[展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)]も全英3位/全米10位、そして日本ではオリコンチャート2位を記録します。
その後も、[トリロジー(Trilogy)]が全英2位/全米5位で日本でも4位、続く[恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)]は全英2位/全米11位(日本18位)となり、また、1971年と翌年のメロディー・メーカー誌人気投票では首位になるなど、絶大な人気を誇り、King CrimsonYesPink Floyd とともに Progressive Rock を代表的するバンドとして位置づけられるようになります。
しかし、人気が出るに伴い多忙となったことに耐えられず1974年9月から活動を休止し、1977年になり新たにレコーディングしたアルバム[ELP四部作(Works Volume 1)]もLP2枚組のうち、メンバー1人に片面ずつを割り当て2枚目のB面でのみバンドとしての演奏を披露する形をとり、徐々にグループとしての意識は弱まっていき、次のアルバム[作品第2番(Works Volume 2)]は以前に作成された楽曲が大半を占めるようになり、そして1978年のアルバム[ラヴ・ビーチ(Love Beach)]の製作中にメンバー間で話合って解散することになりました。ちなみに、[ラヴ・ビーチ]というアルバムタイトルはシカゴの空港で行なわれたアンケート結果によるもので、メンバーは「俺達はビーチ・ボーイズじゃない」と否定的であったのもかかわらず、レコード会社が気に入ったため採用されたという話です。
グループ解散後しばらくは映画音楽に携わっていた Keith Emerson ですが、何の制約も受けず自由に音楽を製作し、ライブパフォーマンスをしたいと望むようになり Emerson, Lake & Palmer の再結成を模索するようになります。しかし、Carl PalmerAsia の成功で多忙であっため、代わりに Cozy Powell を呼び込んで、Emerson, Lake & Powell を結成しますが、思ったような結果に結びつきませんでした。Asia の失速により Carl Palmer が合流することになりますが、今度は Greg Lake が離れてしまい、代わりにギタリストの Robert Berry を抱き込み、3 というバンドを作りますが、これにも満足することはできませんでした。次に Keith EmersonGreg Lake はそれぞれソロアルバムの作成を考えますが、それにはレコード会社が売上を見込めないと難色を示し、あらためて Emerson, Lake & Palmer の集結を考えます。そして遂に再結成を果たし、14年ぶりのアルバム「ブラック・ムーン(Black Moon)」を発表しますが、売上はビルボード78位という結果でした。
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1993年にバンドの歴史を振り返る形で、[リターン・オブ・ザ・マンティコア(The Return Of The Manticore)]という4枚組のボックスセットを発表します。ベスト盤という位置づけですが、Emerson, Lake & Palmer 結成前に各メンバーが在籍していたグループの楽曲や、Emerson, Lake & Powell の曲に未発表曲まで含んでいます。
Disc1の1曲目の「タッチ・アンド・ゴー(Touch And Go)」が Emerson, Lake & Powell の曲ですが、ドラムスは Cozy Powell ではなく Carl Palmer が演奏している新録音になっています。
2曲目の「ハング・オン・トゥ・ア・ドリーム(Hang On To A Dream)」は、Keith Emerson が在籍していた The Nice のサードアルバム[(ジャズ+クラシック)÷ロック=ナイス(Nice)]の収録曲で、3曲目の「21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)」は、Greg Lake が在籍していた King Crimson のデビューアルバム[クリムゾンキングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)]の収録曲です。次の4曲目は、Carl Palmer が在籍していたグループの曲になるわけですが、Atomic Rooster ではなく、その一つ前に在籍していた The Crazy World Of Arthur Brown の全英1位・全米2位となったシングル「ファイアー(Fire)」が選曲されています。この3曲はともに Emerson, Lake & Palmer による新録音となっています。
5曲目はライブアルバムとしてしかリリースされていなかった「展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)」のスタジオテイクです。これは Mussorgsky が作曲したピアノ組曲をロックアレンジしたもので、クラシック音楽のロック化というのは The Nice のアプローチ手法であったため、アルバム化には消極的でありライブ盤としてなら、ということでリリースされたものでしたが、スタジオレコーディングを望む声が多かったということがあり、このタイミングで新たにスタジオで録音しなおしたようです。ただ、ライブ盤とは構成が異なり、組曲を構成する一部である「ブルーズ・ヴァリエイション(Blues Variation)」や「バーバ・ヤーガの呪い(The Curse Of Baba Yaga)」が省かれた形になっています。
Disc3の6曲目「ボ・ディドリー(Bo Didlley)」とDisc4の7曲目「プレリュード・アンド・フーガ(Prelude And Fugue)」が未発表曲です。
他に、Disc1の6曲目「夢みるクリスマス(I Believe In Father Christmas)」は新録音であり、Disc2の7曲目「ロンド(Rondo)」は未発表のライブバージョンになっています。

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そして、1994年に[イン・ザ・ホット・シート]が Emerson, Lake & Palmer の最後のアルバムとしてリリースされます。ちょうどこの頃、Keith Emerson は神経障害の疾患に襲われ右腕の手術をしており、自由に鍵盤を弾くことが難しく、キーボードパートをプログラミングで代用するという手法が採られました。このことに、Keith Emerson は不満とともに苛立ちを覚え、それがストレスとなって心を蝕んでいき、自ら命を絶つという最後へとつながっていくこととなるようです。

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1.ハンド・オブ・トゥルース - Hand Of Truth
2.ダディ - Daddy
3.ワン・バイ・ワン - One By One
4.ハート・オン・アイス - Heart On Ice
5.シン・ライン - Thin Line
6.マン・イン・ザ・ロング・ブラック・コート - Man In The Long Black Coat
7.チェンジ - Change
8.リーズン・トゥ・ステイ - Give Me A Reason To Stay
9.ゴーン・トゥー・スーン - Gone Too Soon
10.ストリート・ウォー - Street War
11.展覧会の絵 - Pictures At An Exhibition
11-a.プロムナード - Promenade
11-b.こびと - The Gnome
11-c.プロムナード - Promenade
11-d.賢人 - The Sage
11-e.バーバー・ヤーガの小屋 - The Hut Of Baba Yaga
11-f.キエフの大門 - The Great Gates Of Kiev
12.ハマー・イット・アウト - Hammer It Out

ELP_InTheHotSeat_NOTE
1曲目の「ハンド・オブ・トゥルース」はピアノとオルガンが主体の Keith Emerson の個性が感じられる Greg Lake との共作曲です。
2曲目の「ダディ」はギターのアルペジオが印象的な Greg Lake が作曲した曲です。
3曲目の「ワン・バイ・ワン」は Keith EmersonGreg Lake に、プロデューサーである Keith Olsen が作曲に加わったシンフォニックな雰囲気を持つ曲です。
4曲目の「ハート・オン・アイス」は Greg LakeKeith Olsen の共作によるポップな楽曲です。
5曲目の「シン・ライン」は Diana RossLittle Feat に曲を提供したことのある Bill WrayKeith Olsen それに Keith Emerson が作曲したジャズっぽいイメージの曲です。
6曲目の「マン・イン・ザ・ロング・ブラック・コート」は Bob Dylan のカバーで Keith Emerson が演奏を望んだということです。
7曲目の「チェンジ」は「シン・ライン」と同じメンバーによる作曲で変化にとんだロックサウンドです。
8曲目の「リーズン・トゥ・ステイ」は、エミー賞受賞に6度のグラミー賞ノミネートの実績を持つ Steve Diamond が、こちらも数多くの作曲をしている Sam Lorber と共作したバラードです。
9曲目の「ゴーン・トゥー・スーン」は Greg LakeBill Wray のほか、プログラミング担当の Keith Wechsler もクレジットされている軽快なロックです。
10曲目の「ストリート・ウォー」は Keith EmersonGreg Lake が作曲した、アップテンポなリズムセクションをベースにしたポップロックです。
11曲目は、[リターン・オブ・ザ・マンティコア]に収録されていた「展覧会の絵」を、このアルバム用にミックスを変化させたものになっています。
12曲目の「ハマー・イット・アウト」は日本盤のボーナストラックで、Keith Emerson のピアノソロになっており、この曲が Emerson, Lake & Palmer の最後を飾るというのは象徴的といえます。

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映画[脳男]の主題歌に、King Crimson の [21世紀のスキッツォイド・マン(21st Century Schizoid Man)]が使われていました。

キース・エマーソン 追悼」としてムック本が出版されています。

エマーソン・レイク&パーマー (KAWADE夢ムック 文藝別冊)




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