<THE END>ツアー~ブラック・サバス|音泉日記~音楽の温泉~

<THE END>ツアー~ブラック・サバス

BlackSabbath_UltimateCD_image
Black Sabbath としては最後となる<THE END>と名付けられたライブツアーが2017/2/4のバーミンガム公演で幕を下ろしました。Black Sabbath は、1968年にバーミンガムで結成されたヘヴィメタルの元祖とも呼ばれるイギリスのハードロックバンドで、世界レベルでは、Led Zeppelin Deep Purple とともにハードロックを象徴するグループとなっていますが、日本での人気度はそこまで高くはないようです。
ヴォーカリストの Ozzy Osbourne が、黒魔術やオカルトに興味があったギタリストの Geezer Butler とバンドを組み、そこに左利きのギタリスト Tony Iommi とドラマー Bill Ward が加わり、オリジナルメンバーが集結します。Tony Iommi は、工員をしていた時に右手中指と薬指の先端を事故で失ったため、わずかな力で弦を押さえることができるよう弦のテンションを下げており、それにより歪んだような音色のギターになったようです。Tony Iommi がギターを担当することで、Geezer Butler はベースに転向します。バンド名は Led ZeppelinCream といった当時イギリスでブルース系グループが音楽シーンの主流となっている影響を受け、Earth Blues Company (短縮名 Earth )としました。歌詞のほとんどは Geezer Butler が担当していますが、彼のオカルテックな趣味が色濃く反映されており、それがバンドの世界観を形作っています。イタリア人 Mario Bava が1964年に公開したホラー映画『BLACK SABBATH (邦題:ブラック・サバス/恐怖!三つの顔)』が人気を博しているのを見て、人は恐怖に魅かれるとのインスピレーションを得て「黒い安息日 (Black Sabbath)」という曲を作り演奏していましたが、レコードデビューの際、Earth というバンドが存在していたことから改名する必要に迫られ、バンドを代表する曲となっていた「Black Sabbath」を、そのままグループ名とすることにしました。
 オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne) - Vocal
 トニー・アイオミ(Tony Iommi) - Bass
 ギーザー・バトラー(Geezer Butler) - Guitar
 ビル・ワード(Bill Ward) - Drums
BlackSabbath_Menber

デビューアルバムは、グループ名を冠した「黒い安息日 (Black Sabbath)」で、1970年2月の13日金曜日にリリースし、全英8位になり全米でも23位になります。セカンド・アルバム「パラノイド (Paranoid)」は、タイトル曲もヒットし、全英1位を獲得し全米でも12位に躍進してスターダムへと駆け上がります。サード・アルバム「マスター・オブ・リアリティ (Master Of Reality)」は予約だけでミリオンを達成し、全英は5位でしたが全米では8位となり、人気を決定づけます。次のアルバム「ブラック・サバス4 (Black Sabbath Vol.4)」になると音楽面で実験的なアプローチをし、メロトロンを用いたピアノ・バラード形式を採用するなど楽曲のバリエーションを広げ、次作「血まみれの安息日 (Sabbath Bloody Sabbath)」ではストリングスを加えたり、YesRick Wakeman がピアノで参加したりと趣向を凝らしていき、どのアルバムも全米で100万枚以上となる売上を記録することになります。しかし、6枚目のアルバム「サボタージュ (Sabotage)」をリリースする頃からパンクやニューウェーブが流行となり、徐々に人気には陰りが見え始めます。そして7枚目のアルバム「テクニカル・エクスタシー (Technical Ecstasy)」は全英13位とチャートのトップ10入りができなくなり、次第にメンバー間に方向性の相違が生まれ、その中で Ozzy Osbourne が重度のアルコール問題を抱えるようになり1977年に解雇されてしまいます。いったんは復帰し8枚目のアルバム「ネヴァー・セイ・ダイ (Never Say Die !)」を製作するもののヒットには至らず、アルコール問題が改善されなかった Ozzy Osbourne は再度解雇されてしまいます。

その後任として、Rainbow を脱退した Ronnie James Dio が加入します。Rainbow は、Deep Purple を脱退した Ritchie Blackmore が結成したバンドで、Ronnie James DioCozy Powell が在籍した時期に、当初目指していた「中世様式美系ハードロック」を作り上げ、ヨーロッパや日本では人気を集めます。しかし、アメリカでの成功を目指しポップ感を持つストレートなハードロックへと音楽性を変更することとしますが、それをよしとしなかった Ronnie James Dio は、Black Sabbath に様式美を持ち込み、9枚目のアルバム「ヘヴン&ヘル (Heaven And Hell)」を1980年にリリースすると、全英9位(全米では28位)となり、HR/HMを代表するアルバムという評価も得て、新たな Black Sabbath として再生します。<ヘヴン&ヘル>ツアー中に、Bill Ward がアルコール依存による健康上の理由で脱退し、Carmine Appice の11歳下の弟 Vinny Appice が加入します。Bill Ward はその後、短期の復帰を繰り返します。10枚目のアルバム「悪魔の掟 (Mob Rules)」発表後、Ronnie James Dio は自らのグループ Dio を結成するため、Vinny Appice とともに脱退します。

その後任に、Deep Purple に在籍していた Ian Gillan が加入し、Bill Ward も復帰を果たして製作したアルバム「悪魔の落とし子 (Born Again)」は赤ん坊が叫んでいるかのようなジャケットに、Ian Gillan のハイトーンボイスを生かした、まるでホラームービー風のサウンドとなっています。ところが、Deep Purple が再結成されることになり、Ian Gillan は脱退してしまい、グループ活動は一時的にフリーズ状態となってしまいます。
1985年にチャリティー・コンサート『ライヴエイド』が開催されると、オリジナルメンバーによる一度きりのラインナップ復活という形で参加をします。ところが今度は Geezer Butler が脱退を表明し、残された Tony Iommi はバンドを解消してソロアルバムを製作することにしますが、レコード会社からの指示があり、完成したアルバム「セヴンス・スター (Seventh Star)」を Black Sabbath 名義でリリースすることとなります。

そして、Tony Iommi がリーダーとなり、ヴォーカルに Tony Martin をスカウトし、ドラムスとして Cozy Powell に加わってもらい、メロディアスでドラマティックな様式美サウンドを追及するバンドとなり、「エターナル・アイドル (The Eternal Idol)」「ヘッドレス・クロス (Headless Cross)」「ティール (Tyr)」と3枚のアルバムを発表します。1991年になると、Ronnie James DioGeezer Butler が復帰することになりますが、Cozy Powell が怪我をしてしまい、その代わりとして Vinny Appice も復帰し、「悪魔の掟」時と同じラインナップでアルバム「ディヒューマナイザー (Dehumanizer)」を製作します。しかし、様式美というよりダークでヘビィなオリジナル期のサウンドをモダンなスタイルで表現したという感じのアルバムになりました。次のアルバム「クロス・パーパシス (Cross Purposes)」では、また Ronnie James DioVinny Appice が離脱してしまい、そこで Tony Martin が復帰することとなり、その次のアルバム「フォービドゥン (Forbidden)」になると、Cozy Powell も復帰しますが、Geezer Butler が離脱をしてしまいます。

BlackSabbath_CROSS

1997年になると突然、オリジナルメンバーにより再結成し、これ以降 Black Sabbath を名乗れるのは、このラインナップのみであると宣言をします。ツアー活動を行なった後、1998年にライブアルバム「リユニオン (Reunion)」をリリースしますが、スタジオアルバムは製作しないまま、2000年に「アイアン・マン (Iron Man)」で『グラミー賞』を受賞し、2006年に『ロックの殿堂』入りを果たすものの、また活動を停止してしまいます。同じ時期、Ronnie James Dio 在籍時のコンピレーション・アルバム製作の企画があり、Tony IommiRonnie James Dio と新曲を作成する話になり、Geezer ButlerBill Ward も加わり、「ヘヴン&ヘル」時のメンバーが集結することとなりましたが、製作の途中で Bill Ward が離脱してしまい、代わりに Vinny Appice が参加することになり、最終的には「ディヒューマナイザー」製作時と同じく「悪魔の掟」時メンバーに落ち着いて新曲3曲を録音し、アルバム「ベスト・オブ・ディオ・イヤーズ (Black Sabbath: The Dio Years)」をリリースします。そのまま、このメンバーでツアーを始めることとなりますが、バンド名は、Heaven And Hell と名付けられました。スタジオアルバム「ザ・デヴィル・ユー・ノウ (The Devil You Know)」を発表しますが、2010年に Ronnie James Dio が胃癌により病没したため、活動停止となってしまいました。

2011年11月11日11時11分に、再びオリジナルメンバーによる再始動を会見発表しましたが、Bill Ward が契約内容に不満を持ち袂を分かつことになります。そこで、ドラマーには代役を迎えたスタイルでの Black Sabbath として、2013年に18年ぶりの19枚目のアルバム「13(サーティーン) (13)」をリリースします。オリジナル期のサウンドに回帰したようなダークでヘビィな Black Sabbath が復活したアルバムで、デビュー43年目にして初めて全米1位を獲得し、全英でも「パラノイド」以来となるチャート1位を記録するという大ヒットとなり、収録曲「ゴッド・イズ・デッド? (God Is Dead ?)」が『グラミー賞』を受賞することとなりました。
ところが、2012年に Tony Iommi にリンパ腫が見つかり、他のメンバーも60歳代後半ということもあり、Black Sabbath 解散をメンバー総意で決定し、最後のワールドツアー<THE END>を以て、約50年に及ぶ Black Sabbath の活動は終焉を迎えることとなりました。 ツアー前は、バンドとして最後のアルバムを製作するアイデアもありましたが、アルバム「13(サーティーン)」の製作に約3年かかっていた経験から、新たに曲を書きレコーディングするだけの余裕はないだろうと判断し、取り止めにしたそうです。
ちなみに新曲ではありませんが、アルバム「13(サーティーン)」未収録の4曲と2013年~2014年の<13>ワールドツアー時のライブトラック4曲を収録した8曲入りの「エンド (The End)」というアルバムを<THE END>ツアー会場でのみ販売しており、今のところ一般販売は予定していないとのことです。
そのかわり、1枚目から8枚目までのオリジナル期のアルバムからメンバー自身が選んだベスト盤といえるようなアルバムを発表しています。「ジ・アルティメイト・コレクション (The Ultimate Collection)」という全31曲入り2枚組CDで、2009年リマスター音源が使われています。現時点では、これが Black Sabbath にとって最後にリリースされるコンピレーション・アルバムということになります。

ジ・アルティメイト・コレクション

新品価格
¥3,024から
(2017/2/28 22:00時点)



Disc1
1.パラノイド - Paranoid
2.ネヴァー・セイ・ダイ - Never Say Die
3.アイアン・マン - Iron Man
4.黒い安息日 - Black Sabbath
5.チルドレン・オブ・ザ・グレイヴ - Children Of The Grave
6.フェアリーズ・ウェア・ブーツ - Fairies Wear Boots
7.チェンジス - Changes
8.ラット・サラダ - Rat Salad
9.スウィート・リーフ - Sweet Leaf
10.ウォー・ピッグス - War Pigs
11.血まみれの安息日 - Sabbath Bloody Sabbath
12.ホール・イン・ザ・スカイ - Hole In The Sky
13.悪魔のしるし - Symptom Of The Universe
14.スパイラル・アーキテクト - Spiral Architect
15.ロックン・ロール・ドクター - Rock 'N' Roll Doctor

Disc2
1.きたない女 - Dirty Women
2.魔女よ、誘惑するなかれ - Evil Woman, Don't Play Your Games With Me
3.ハード・ロード - A Hard Road
4.ロード・オブ・ジス・ワールド - Lord Of This World
5.イントゥ・ザ・ヴォイド - Into The Void
6.眠りのとばりの後に - Behind The Wall Of Sleep
7.スノウブラインド - Snowblind
8.トゥモロウズ・ドリーム - Tomorrow's Dream
9.魔法使い - The Wizard
10.N.I.B. - N.I.B.
11.エレクトリック・フューネラル - Electric Funeral
12.エンブリオ - Embryo
13.生への自殺 - Killing Yourself To Live
14.発狂 - Am I Going Insane
15.悪魔の世界 - Wicked World
16.イッツ・オーライ - It's Alright

BlackSabbath_UltimateCD_cover




ハードロック・ヘヴィーメタル ブログランキングへ
にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ
にほんブログ村
関連記事
2017-02-28 : ロック :
« next  ホーム  prev »

プロフィール

うえ ちゃん

Author:うえ ちゃん
音楽と温泉に浸っていることが好きです。

最新記事

アナウンス

映画[脳男]の主題歌に、King Crimson の [21世紀のスキッツォイド・マン(21st Century Schizoid Man)]が使われていました。

キース・エマーソン 追悼」としてムック本が出版されています。

エマーソン・レイク&パーマー (KAWADE夢ムック 文藝別冊)




にほんブログ村
人気ブログランキングへ
~PV(ページビュー)アクセスランキング~

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

主に70年代洋楽と80年代邦楽について紹介している[只野感想文]もチェック! このブログをリンクに追加する

QRコード

QR
プライベートクラウドとパブリッククラウド