原子心母~ピンクフロイド|音泉日記~音楽の温泉~

原子心母~ピンクフロイド

[原子心母(Atom Heart Mother)]は、Pink Floyd が初めて全英1位となった5枚目のアルバムです。全米55位、日本のオリコンチャートでは15位となっています。

Pink Floyd は、建築学校(現ウェストミンスター大学)同級生であった Roger WatersRick WrightNick Mason の3人組に、旧友の Syd Barrett が加わったできたバンドで、1967年に Syd Barrett が作った「アーノルド・レーン(Arnold Layne)」でシングルデビューします。この曲も全英20位のヒットとなり、続く Syd Barrett 作のセカンドシングル「シー・エミリー・プレイ(See Emily Play)」は全英6位を記録し、デビューアルバム[夜明けの口笛吹き(The Piper At The Gates Of Dawn)]も全英6位となり、サイケデリックロックの代表格として人気を得ます。ちなみに、Pink Floyd がアルバム制作をしていた隣のスタジオでは、the Beatles が[サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)]のレコーディングをしていました。
ところが、バンドのフロントマンであり、メインのソングライターである Syd Barrett がドラッグにより精神と肉体が侵されるようになってしまい、そこでサポートメンバーとして David Gilmour が加入し5人編成のバンドとなります。しかし、Syd Barrett の症状は改善されることはなく脱退することとなり、バンドの音楽性もサイケデリックロックから幻想的なサウンドへと方針転換を図り、より独創性の高い革新的な音楽を目指すようになります。セカンドアルバム[神秘(A Saucerful Of Secrets)]には Syd Barrett 在籍時の曲も含まれているものの、バンドメンバー4人全員で作曲したタイトル曲「神秘」は起承転結を表現した四部構成の12分近い幻想的なインストゥルメンタルで、今後の方向性を示したものとなり、全英第9位を記録しています。また、このアルバムからカバージャケットをヒプノシス(Hipgnosis)が手掛けることとなり、Pink Floyd の視覚面のアート性を高める役割を果たすようになります。幻想的で構成のしっかりした音楽性は映像喚起力も高いとの評価を受け、サードアルバム[モア(Soundtrack From The Film More)]は映画『モア(More)』のサウンドトラックとして制作され、こちらもまた全英第9位となります。
その頃、ロック音楽にも芸術性が求められるような方向性になっており、the Beatles が[アビーロード(Abbey Road)]で組曲形式に楽曲を構成し、Deep Purpleロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ(Royal Philharmonic Orchestra)と共演し、また King Crimson が革新的で衝撃作なデビューアルバム[クリムゾンキングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)]を発表しました。Pink Floyd は、1枚目がライブ盤で2枚目がスタジオ盤という2枚組構成アルバム[ウマグマ(Ummagumma)]をリリースします。ライブ盤の方は既出曲ですが、スタジオ盤はメンバー4人がそれぞれの個性を前面に出した組曲形式の大作が収録されたもので、効果音などの非楽音のコラージュやエフェクトの多用といった実験的なアプローチをしていますが、全英5位という評価を得ます。そして、その次のアルバム[原子心母]では、現代音楽家である Ron Geesin と組んでストリングスやブラスなどを大胆に取り入れたり、サウンドエフェクトやテープ処理を多用したり、ミュジーク・コンクレート作品を含めたりといった多彩な音世界の表現が各方面から絶賛され、全英1位を獲得することとなります。

原子心母

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1. 原子心母 - Atom Heart Mother
-a) 父の叫び - Father's Shout
-b) ミルクたっぷりの乳房 - Breast Milky
-c) マザー・フォア - Mother Fore
-d) むかつくばかりのこやし - Funky Dung
-e) 喉に気をつけて - Mind Your Throats Please
-f) 再現 - Remergence
2. もしも - If
3. サマー'68 - Summer '68
4. デブでよろよろの太陽 - Fat Old Sun
5. アランのサイケデリック・ブレックファスト - Alan's Psychedelic Breakfast
-a) ライズ・アンド・シャイン - Rise And Shine
-b) サニー・サイド・アップ - Sunny Side Up
-c) モーニング・グローリー - Morning Glory

AtomHeartMother_Inner

1曲目「原子心母」は、6つのパートから構成される23分42秒の大作でLPレコードのA面全てを使われて収録された楽曲です。David Gilmour が映画のサントラをイメージして弾いたギターのメロディーを Roger Waters が気に入り、セッションを重ねたり、ライブのレパートリーとして演奏したりしながら形作っていったもので、途中から Roger Waters が映画のサントラを以前共同制作したことのある Ron Geesin にオーケストラアレンジを依頼し、最終形として完成させました。この曲は、ライブ演奏の際は「The Amazing Pudding」という仮名称が付けられていましたが、「BBCインコンサート」で演奏することとなり正式名称が必要となった時、BBCのカフェにあった新聞の見出し記事「Atom Heart Mother Named」を見つけ「Atom Heart Mother」にしたということです。
2曲目「もしも」は、Roger Waters が作ったシンプルなフォークソング調の曲で、後の[狂気]や[ウォール]にも通ずる Syd Barrett へのオマージュといえるものです。
3曲目の「サマー'68」は、Rick Wright の作品でグルーピーのことを歌っているサイケデリック調の曲です。アメリカツアー時にまとわりつかれた嫌悪感から、うだるような暑さや浮かれた熱気を「サマー」と表現したのでしょう。
4曲目「デブでよろよろの太陽」は、David Gilmour が夏の沈みゆく夕陽を歌ったフォークソング風の曲で、後半はギターソロがフューチャーされています。
5曲目「アランのサイケデリック・ブレックファスト」は、Pink Floyd のローディーとして食事を担当していた Alan Styles が実際に Nick Mason の自宅キッチンで行なった朝食の調理状況を録音した素材を効果音として用い、楽器演奏を追加したミュジーク・コンクレートで、途中途中にメロディアスな部分が挟まれています。

このアルバムを以て、Pink Floyd はプログレッシヴロックを代表するグループとして位置づけられるようになります。邦題の[原子心母]は、東芝音楽工業の洋楽ディレクター石坂敬一が「Atom⇒原子」「heart⇒心」「Mother⇒母」とそのまま直訳してつけたものです。また、レコードの帯には「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道である」とあり、1971年8月6日の霧に包まれた箱根アフロディーテの野外音楽フェスティバルが伝説となり、日本では「プログレッシヴロック=Pink Floyd」という位置づけになっているところがあります。

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